Case Studies営業支援システム
背景
パワーアップ株式会社(注)の営業本部企画課のイシダさんは営業本部長から営業支援システムの導入の検討を指示されました。現在、営業支援システムの導入状況はグループウェアの機能を使ったり、一部クラウドサービスを使うなど営業部門毎にばらばらの状態です。本部長はこれを統一してより強力な営業管理を推進したいと考えています。
イシダさんは早速どのような営業支援システムがあるのか調べました。営業支援システムはクラウドサービスとして提供されるものが多く、代表的なものでは1ユーザあたり月1万5千円ほどかかるようです。パワーアップ株式会社では約100名の営業部隊がいますので、月あたり150万円、年間で1,800万円の費用が発生することになります。さらに会社独自の営業規定や機能を組み込むカスタマイズを行うと1,000万円を超える費用が発生すると言われました。
(注) 様々な企業に共通する課題、解決策を説明するための仮想の会社です。パワーアップ株式会社は自動車用品を製造するとともに首都圏で般消費者向け自動車用品販売チェーンを展開しています。
課題と解決策
- 営業部で営業支援システムの導入状況がばらばらで統一されたシステムがない
- 営業マネージャが配下の営業マンの活動状況を把握できておらず、販売予測の精度もよくない
- 導入初期のコストはできるだけ抑えたい
インフォテックのウェブアプリケーション構築ライブラリーであるinfoTek Software Library をベースに、パワーアップ株式会社の営業活動の実情にあった支援システムを構築する
営業支援システム構築事例
概要
ここでは、本格的な営業支援システムをカスタムソフトとして開発した事例を紹介します。
基本的にはオーソドックスなセールスプロセスを想定し、その計画と実行が効率的に行えるシステムを目指しましたが、同時にカスタムソフトの利点を生かして会社独自の営業規定などをシステムに組み込み、ユーザの余分な負担を避けながら社内ルールに従って営業活動が進められるシステムとなっています。
特長
●標準的な営業プロセスに社内規定を織り込む
営業活動の流れは、引合からクローズまで標準的な営業プロセスを想定し、これに基づいて営業計画を立てる形になっていますが、この中に業務規定などを織り込んでいます。
●担当営業にとってメリットがあるシステムとする
担当営業にとっても時間を割いて利用するメリットが感じられるように、日々の営業活動の計画やチェックを効率化し、報告書作成や連絡などの手間が最小化するなどの工夫をしています。
●営業マネージャの管理負担の軽減と質の高いマネジメントを実現する
担当営業が入力した案件や活動情報を営業マネージャは容易に参照でき、定型的なレポートはほぼ自動的に生成されます。
機能
実際のシステムでは企業独自の手順やルールを組み込むことが多いと思いますが、ここでは、比較的汎用的な機能を中心にご紹介します。
1.基本的な要素
営業活動の基本的な要素として、案件、顧客、営業プロセス、営業計画、アクションなどを定義して営業支援システムを構成しています。
案件は最終的にひとつの注文に至る引合の単位で、顧客、商品、営業担当/部署などのさまざまな属性情報やステータスを持ちます。営業支援システムは案件の発生から終了に至るまでのプロセスやステータスを管理するシステムといえます。
顧客も重要な要素です。顧客の単位を、個人にするのか、部署にするのか、企業にするのか、また担当の変更やM&Aに対してどのように対応するかなどをあらかじめ検討する必要があります。顧客情報をどのように整備していくかも大きな課題です。部署により別々の顧客情報を管理しているケースも多く、企業名、住所などの表記についても統一されてない問題もあり、整備そのものが開発と別のプロジェクトになるような作業です。
2.営業プロセス
営業プロセスは右図に示すような営業活動におけるマイルストーンをひとつずつ達成していく過程です。各マイルストーンに達するためには、図に示すようなアクションを積み重ねていく必要があります。
本システムでは、担当営業が自分の案件の受注を目指していく過程で案件の状態を更新していきますので、営業マネージャは配下の各案件が現在どのようなステータスにあるかを個別でも一覧でも把握することができます。
3.営業計画とアクション
本システムでは案件のコンタクト初期に営業計画を立案することを求められます。営業計画と言っても、主要なマイルストーンのスケジュールを決定すること、案件のポイントを明確にすることに重点を置いた簡潔なものです。(下図参照)
担当営業は当面のマイルストーンに達することを目指して、電話、訪問、デモなどの営業活動を行っていきます。このようなひとつひとつの営業活動をアクションと呼び、案件及びマイルストーンと関連づけて登録管理することができます。
担当営業は、これにより営業計画に沿って具体的な営業活動を計画、実施、管理することができ、営業マネージャは個々の案件でどのような営業活動が行われているのかを把握することができます。
4.営業情報の検索
登録された下記の営業関連情報を検索することができます。 検索の結果はCSVファイルとしてダウンロードが可能ですが、そのためにはマネージャの承認が必要な仕組みになっています。
- 顧客情報
顧客名、業種、住所、引合の有無、取引の有無、案件の有無などによる検索 - 引合情報
顧客名、業種、住所、商品種別、受付部署、受付月日などによる検索 - 取引情報
顧客名、業種、商品種別、取引金額などによる検索 - 案件情報
顧客名、業種、商品種別、担当営業部署、日付、住所などによる検索
5.レポートの出力
主要な営業レポートを下記に示します。
- 受注予測
担当営業毎の受注予測、部署の確度別期間別受注予測 - アクション
部署毎のアクションリスト、集計 - 案件
案件リスト、案件スケジュール - その他
受注実績、訪問実績など
導入効果
本システムの導入により、下記のような効果が実現できました。
- 担当営業にとっては、システムを使うことにより、手順に沿った計画的な営業活動が可能になり、報告の手間も削減された。
- 営業マネージャにとっては、配下の営業マンの活動をリアルタイムに把握でき、適切な指示・指導ができるようになった。
- 営業部門としてより正確な受注予測をタイムリーに把握することができるようになり、有効な対策を打てるようになった。
動作環境
- OS: Windows系サーバOS
- MW: infoTek Software Libary(iSL)
- DB: Microsoft SQL Server
ご要望により上記以外のソフトウェア環境でも開発が可能です。
提供形態
- 通常の受託開発と同様にソフトウェアを開発し、アプリケーションを構成するコードについては弊社で過去に開発したコードも含む全てのソースコードを納品します。お客様は当該コードを自由に改変、複製して使用することができます。インフォテックは当該コード等の著作権を留保します。
- iSLはソフトウェア製品としてライセンスをご提供します。
- 開発費用は、標準的にはベース料金500万円、カスタマイズ費用300万円程度を想定しています。カスタマイズ費用はご要求をヒアリングした上で別途お見積りさせていただきます。
お問い合わせ先
インフォテック株式会社CS担当
電話:042-358-5777 電子メール: こちらから