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Technology15. 保守性

信頼性の向上は、サービスを停止させないことへの挑戦でした。保守性の向上は、サービス停止の際にいかに早く復旧させるか、またいかにスムーズに保守活動を行えるかへの挑戦になります。

アプリケーション・アーキテクトが保守性に関して注目すべき領域は、クラスタリングの技術です。アプリケーション・サーバやデータベース・サーバを自動的 に復旧させる仕組みによって、サービス停止時間を短縮させることができます。また、人的操作を排除することで、より確実にサービスを復旧させることができ ます。クラスタリングは高い可用性が求められるシステムのために開発された技術で、信頼性と保守性の両面から可用性向上に貢献します。

アプリケーション設計者は、エラー・メッセージやログによって、サービス停止の原因調査を支援する必要があります。さらに、セッション情報や操作や処理の 履歴を記録することで、サービス停止直前に近い状態にできるだけ早く復旧させる仕組みを検討します。また、修正や機能追加がしやすいように、アプリケー ションの構造化やモジュール化を行います。

運用設計者は、バックアップとリストアの仕組みを具体化します。サービス復旧の仕組みはアプリケーションを設計する際に検討されますが、さらに具体的なツールやインフラストラクチャ、そして作業手順を決定します。計画的保守の方法やスケジュールもさらに具体化します。

このように保守性の向上もまた、アーキテクト、アプリケーション設計者、運用設計者がそれぞれの立場で検討する必要があります。可用性は、信頼性と保守性 の組み合わせなので、サービスの信頼性や保守性が、ビジネスからどの程度求められているかに注目してください。そして、そのサービスの可用性を実現するた めの、アプリケーションの信頼性と保守性を検討してください。

アプリケーションの可用性は、アーキテクチャ、設計、運用のどこに問題があってもうまく行きません。それぞれの領域における可用性と全体の整合性のバラン スを取りながら、アプリケーションの可用性を高めていきます。サービスの可用性にまで視野を広げれば、サービス供給を支えている設備、ツール、スタッフに も目を向けなければなりません。さらにコストという別の重要要因もあります。

サービスの可用性に影響を与えるあらゆる要素のバランスを取るプロセスが可用性管理です。可用性管理は、サービスの可用性に影響を与える人、プロセス、技術を正しく理解し、各構成要素の最適化を図り、顧客の期待する可用性を継続して供給する責任を持っています。