PDFlib 10 の新機能
PDFlib 10 では、さまざまな新機能を搭載しています。このページでは PDFlib 10 の主要な新機能を説明します。PDFlib 10 の新機能を含む全機能は PDFlib 10 の機能一覧 をご確認ください。
PDFlib 10 は ダウンロードページ からダウンロードして試用することができます。
カラーフォントと絵文字
SVG や Microsoft COLR をベースとする OpenType カラーフォント (※) に対応します。また OpenType 機能のバリエーションセレクタと絵文字バリエーションシーケンス (特定の絵文字の肌の色や性別を変える等) にも対応しています。
※ OpenType カラーフォントではグリフの色や透明度を設定することができ、絵文字フォントで使用されています。
リンクやフォームフィールドの取り込み
PDFlib+PDI や PPS 等でページを取り込む際、ページ上の注釈 (リンク、フォームフィールド、アクション、JavaScript 等) をページ内容とともに取り込みます。元の PDF とページ順が異なっても注釈の機能が維持されます。またページの拡大、縮小、回転等を行っても、注釈の矩形は適切に変換され維持されます。注釈の取り込みは PDF/A、PDF/UA、PDF/X に対応しています。
コメント注釈機能の改善
すべてのタイプのコメント注釈の作成機能を全面的に見直し、拡張し、改善しました。注釈の外観は自動的に作成されるようになり、PDF/A 規格でも規格で認められた注釈をサポートするようになりました。
マルチメディア機能の強化
動画ファイルや音声ファイルをスクリーン注釈やレンディションアクションで利用できます。PDFlib 10 や Adobe Acrobat DC で非推奨である Flash を必要としません。
PDF 2.0 のサポート拡張
従来の ISO 32000-2:2017 に加え、改訂版の 32000-2:2020 までの新機能に対応しています。この新機能には、タグ付き PDF の新しい構造要素種別とネスト規則、グラフィック機能、暗号化、インタラクティブ要素、文書・ページレベルの出力インテント等、多くの領域が含まれます。また PDFlib+PDI と PPS は PDF 2.0 の PDF を処理できます。
PDF 2.0 で非推奨とされた機能は、PDFlib でも非推奨に設定されたり削除されています。
カラーマネジメントの改善
RGB 画像に ICC プロファイルが埋め込まれていない場合、業界標準の sRGB ICC プロファイルを自動的に適用するようになりました。これにより、PDF/A や PDF/X での RGB 画像の忠実な色再現や使用が容易になります。
また透過が設定された PDF ページや SVG 画像を取り込む際に透過グループを自動作成するようになり、忠実な色再現が容易になりました。
PDF 出力の最適化
PDF 内の ICC プロファイル等のオブジェクトをキャッシュし、重複を検出するようになりました。最適化されたコンテントストリームと組み合わせることで、これまで冗長な PDF が出力されていたようなケースでも最適な出力が行えます。
SVG インポートの改善
特定の CSS ディテクティブを含む SVG 処理が改善されました。また SVG 内で要求されるフォントや画像等のネットワークリソースを自動的に取得するようになりました。
フォントサポートとテキストハンドリングの強化
先述のカラーフォント対応の他、下記の機能強化を行いました。
- WOFF2 形式のフォントをサポート
- OpenType レイアウト機能の対応を強化
PDFlib API の利便性の改善
既存の PDFlib API に便利なオプションが追加されたり、一部の処理手順が簡素化されています。例えば、グラフィックの状態を表すプロパティを使用する際、あらかじめ gstate オブジェクトを作成することなく、直接指定できるようになります。またパスオブジェクトを既存のテキストフローや表の書式指定に使用することができます。
PDF 生成時の PDF バージョンの初期値が Adobe Acorbat X/XI/DC のファイル形式である PDF 1.7 Extension Level 8 になりました。
PantoneR カラーライブラリの更新
内蔵された Pantone スポットカラーデータベースが更新され、最新の Solid Coated および Solid Uncoated カラーライブラリをカバーするようになりました。また Hexachrome のような Pantone, Inc. 社が既にサポートしていないカラーライブラリを削除しました。
pCOS インターフェースの更新
pCOS インターフェース (PDFlib+PDI, PPS に含まれています) が更新され、新しい PDF 規格、フォームフィールド、署名、ICC プロファイルといった要素に対応した疑似オブジェクトが追加されました。
タグ付き PDF および PDF/UA の対応強化
自動テーブルタグを使用して複数ページにまたがるテーブルを1つのテーブル要素として正しくタグ付けできるようになりました。複数行に渡るリンクについても、複数の矩形を含む1つのリンク注釈としてタグが作成されます。構造要素タグは、テキストフローのオプションで書式オプション等の共にインラインで与えることができるようになりました。
PDF 2.0 では構造要素の関係について厳格なモデルが導入されています。PDFlib でもこの新しい構造種別と属性に対応しており、新しい構造要素の入れ子規則を強制します。またタグ名前空間 (タグセット) と構造体の destination に対応しています。
タグのない PDF を Artifact として取り込むことができるようになり、PDF/UA として提供されていない PDF の取り扱いが簡単になりました。
PPS と PDFlib Block Plugin の機能強化
Adobe Acrobat 向けのプラグインである PDFlib Block Plugin の新バージョンでは、画面やプレビューで表示される PDFlib ブロックの数を一時的に減らすフィルター等、利便性の向上が図られています。また PDFlib ブロックの移動に関する機能強化が行われています。さらに、PDFlib ブロックの追加時にオーバープリント等のすべてのグラフィック状態オプションを設定できるようになりました。その他構造要素 (タグ) を PDFlib ブロックのプロパティとして利用できるようになり、プレビューで PDF/UA の複製に対応しました。
ネットワーク機能の追加
新しく追加された PDFlib API でリモートリソースを取得できるようになりました。また SVG の処理では、フォントの画像等のリモートリソースを自動的に取得します。
言語バインディングの更新
各言語バインディングの最新バージョンに対応しています。Perl, PHP, Ruby では UTF-8 にデフォルトで対応しています。また C++ では C++11/20 で導入された Unicode 文字列型 u8string/u16string/u32string に対応しています。
その他の改善点
その他にも様々な分野で新機能が追加されました。
- Type 3 フォントにカラーフォントと非カラーフォントを混在できます
- パスオブジェクトに外観オプションを追加しました
コードの安全性の見直し
PDFlib のコードを見直し、堅牢性を向上させました。また古い Adobe Acrobat や Adobe RIP のための回避策のためのコードや非推奨の機能に関するコードを削除しました。その他、セキュリティ保護と脆弱性対応のため、PDFlib で使用されているサードパーティライブラリを最新版に更新しました。