入門 10 - PDFlib ブロック機能による文書作成 (I) -
既にお気づきかと思いますが、PDFの座標をいちいち計算しながら指定するのは面倒です。この点を解決するために導入されたのが、PDFlib のブロック機能です。ブロック機能により、画面上の対話形式でデータを出力する領域やその属性を自由に指定することができ、この領域に対しプログラムからデータを出力することができます。
PDFlib のブロック機能は、以下のようなアプリケーションの場合に特に有効です。
- 多くの種類の文書レイアウトを扱わなければならない
- 文書のレイアウト作成とプログラム開発を分業する
- 文書のレイアウトの変更が多い
- 複雑な文書レイアウトを扱う
PDFlib ブロック機能を使うためには、PPS のライセンスを購入する必要があります。
ブロックは、名前と各種プロパティ(属性)を持つPDFページ上の矩形の領域と定義されます。ブロックはPDFのフォームフィールドと似ていますが、プログラムによる出力に特化した PDFlib で独自に設定されている概念です。ブロックは、出力するデータ種別に応じて、テキスト、イメージ、PDFの3種類のブロックタイプがあります。またプロパティには、あらかじめ設定されている標準プロパティとユーザが自由に設定できるカスタムプロパティがあります。
1. ブロックプラグイン
PDF文書上で対話形式で、ブロックを定義するにはブロックプラグインを使用します。ブロックプラグインは、Adobe Acrobatのプラグインとして動作するため、インストールして使用するためにはAdobe Acrobatが必要です。Acrobat ReaderまたはAdobe Readerでは使用できません。ブロックプラグインはPPSのライセンスで使用することができます。
ブロックプラグインの主な機能は以下の通りです。
- ブロックの作成・編集
- PDF文書間、ページ間でのブロックのコピー・移動
- PDFフォームフィールドのブロックへの変換
下図は、後で紹介するサンプルのPDF文書をブロックプラグインをインストールしたAcrobat DCで開いた画面です。画面のツールバー上にあるボタンを押すとブロックプラグインツールが有効になり、図のように作成されたブロックが表示されます。中央のダイアログボックスはピンクでハイライトされた選択中のブロックのプロパティを表示しており、これらの値を編集することによりブロックの属性を自由に設定できます。
(Nov 10, 2006 - Dec 6, 2021)